ねこそぎ

タイトルに意味はないけど。

りんごの中で少年たちが
キャッチボールをしている
りんごの味をまだ
言葉でしか知らない
やがてボールだけが意味となり
りんごの中を転がって行っても
少年たちはまだ知らないのだ
本当は自分自身が
言葉であるということを


男は腕を組んでいた
腕から先は
肩も胴も頭も脚も
空っぽだった
十姉妹の形と
雨どいの静かな朝を
愛してやまなかった