2009-01-01から1年間の記事一覧

ベランダ

母さんの中を 金魚がぷかぷか泳ぐ 雲の柔らかさ 産地とはおしなべて そんなところなのだと思う母さんの背中 バズーカ砲つけたら 悪いロボットみたいだ だから僕たちは 誰も殺しちゃいけない 約束された沈黙のために母さん、走るよ、見てて、 てててててー 走…

今日は夏休み。

母さんの中を 金魚がぷかぷか泳ぐ 今朝から物干竿では 行方知れずの自転車が 干からびて涼しい 母さんの背中 バズーカ砲つけたら 悪いロボットみたいだ だから僕たちは 誰も殺しちゃいけない 何も語らないために 母さん、走るよ、見てて、 てててててー 見て…

へび

朝起きて、俺 ヘビと戦った その日はとにかくひどい洪水で 俺の大事にしていたポシェットも流され 銀行などの床も水浸しになり 家の冷蔵庫は野菜室まで水が入り込み それでも、俺 ヘビと戦った ヘビは鎌首をもちあげ 毒があるのかないのかは 種類がわからな…

いろいろと

人はセミになれない 遺言を残すことに とても忙しいから+縁側でキリンの幽霊が 夕涼みをしている 動物園に帰りそびれて+モノレールが虹をくぐり抜ける 泣きじゃくる運転士を たった一人乗せて+骨を拾っていると 誰のものかわからなくなって 鎖骨のあたりを押…

家電

21〜2425 ウィルスに感染したパソコンも母は叩いて直してしまう。

いろいろ

口が間違ってる 何も無い ただ薄暗いフライパンで 僕らはまだ浅い性器を 這いずりまわした 海岸線の潮風に乗って 蝶はどこまで 飛ぶつもりなんだろう 駅長、あのTシャツは息絶えてます、と 赤ん坊は夢の中で 業務日誌を書き終えた18 岸辺にうち上げられた蛍…

家電

14 風に乗れなかった紙飛行機が一機、エアコン売り場の床に墜落している。15 このゲーム、2と3では使えるゲーム機本体が違いますけどお孫さんはどちらが欲しいと言ってました?と店員に聞かれて、財布のお金を数えているおばあさんの手から落ちた手書きの…

家電

12 掃除機に鎖をつけて散歩させている男の背中から生えている翼は、空を飛ぶには退化しすぎているようだ。13 祖父の愛用していた鉱石ラジオを珍しそうにひと舐めして、オオアリクイは別のアリ塚を探しに行った。

家電

09 近所の電気屋さんに「タイムマシーン売切」の貼り紙が出てからもう七百年が過ぎた。10 洗濯機にアメフラシが住み着いたので今日から洗濯物は紫色に染まります、と朝の家族会議で妻は口火を切った。11 すべてのものはいつか必ず土に還るのだ、と信じて、古…

いろいろ

05 テレビの中から自分の名前を呼ばれている気がして振り返るけれど、まだ家に帰る途中の上り坂だった。06 冷蔵庫の中から出てきた子供たちが行儀良く列をつくり、中庭でチューリップになって咲き始める。07 生まれてからひたすら乾電池を食べ続けた男が最後…

家電

03アイロンの代わりにコンニャクをかけると、誰かが出口で待っていてくれる気がする。04 空を飛んで行くドライヤーの群れを眺めながら、化粧の上手くなった君が生まれ故郷の見取り図を描いている。

書きかけ

なんか、もうちっと淡々と書いたほうが良さげかな。くにゅくにゅ列車が 小さくて古いバス停から 駝鳥を三羽乗せて行った 駝鳥たちが仲良く キャラメルを分け合っているのが 窓の外からも何となくわかった わたしも乗りたいな と小さく言う妹の手を引いたまま…

家電

01 冷蔵庫売り場の前で火遊びをしている少年のシャツは裏返っていて、肌がまぶしい。02 扇風機の真似をして首を振る君の羽が朝から壊れているのでたいそう困っている。

図書館物語

2425 雪が降った日は、図書館に来ている人みんなで雪だるまを作るけれど、名前を何にするか決める前にいつも融けてしまう。25 春になると図書館の周囲一面はきれいなお花畑になって、時々軽い怪我をする人がでてくる。26〜27

図書館で拾った一文

11 図書館の一階フロア南西角はタイル一枚分が海になっていて、そこだけ「遊泳禁止」の看板が立っている。12 図書館は駅から歩いて五分です、という案内を見た人から、走れば何分ですか、とか、雨の日は傘立てがありますか、とか、私はどうしたら良いのでし…

図書館で拾った一文

05 図書館が休みの日、館長は網と虫かごを持って野原に昆虫図鑑を捕まえに行き、次の日にはいつも、もう昆虫図鑑は要りません、と副館長に叱られる。06 泥棒は図書館にあるすべての書籍を盗んでしまおう思ったが、海の大好きな子どもがいると可愛そうなので…

図書館で拾った一文

01 図書館にパンが落ちていたので男は拾って食べたのだが、それはパンではなくムカデの足だった。02 図書館の大砂漠で遭難した司書は一週間後に救助され、その翌年には大統領になったが、死ぬまで左側に物を置かなかった。03 図書館で借りてきた本を途中で読…

いろいろ

05 テレビの中から自分の名前を呼ばれている気がして振り返るけれど、まだ家に帰る途中の上り坂だった。06 冷蔵庫の中から出てきた子供たちが行儀良く列をつくり、中庭でチューリップになって咲き始める。 くにゅくにゅ列車が 小さくて古いバス停から 駝鳥を…