演歌


ため息が汽笛となり
涙は色の無い雨となり
配膳車で旅をする
乗っているのは
おまえたちというより
俺たち
港町
哀歌
巨大なカウンター
俺たちは
おまえたちの肩を
そっと抱き寄せる
たくさんの腕と
たくさんの肩
悲しい思い出は
どうでもいい記号になった
だから大切に
ポケットにしまっておけ
そして溢れ出す酒
酒は
飲んでも
飲んでも
飲まれるな
配膳車に載せられた鍋の中では
発酵食品が
淋しい海の色をしていて
俺たちの未練