いきましょうか、ふう。


お座り、が得意でした
お手、もしたし
おかわり、も覚えました
僕は悪い親でした
明日が卒業式です
 

電車は電力をなくし
いつしか犬が
車両を引くようになった
町にひとつしかない駅を
特急が犬の速度で通過する
それでも当時の名残で
誰もが
電車、と呼ぶ
 

白線の内側にお下がりください
と言われて人々は
みな思い思いに白線を描き
内側に下がると
そのままどこかに行ってしまった
どうして僕は
チョークを忘れてしまったのだろう
 

太った男の人が
日向で陽の光を浴びて
まだ少しずつ
太っている
やがて坂道経由の
犬がやって来て
すべてを食べてしまった